Works 施工事例

再生の美学。ひとつの倉庫が創作の場になるまで

朽ちた倉庫が、アーティストの創造拠点としてよみがえる

外観Before

内観Before

内観Before

長年放置され、いつ倒壊してもおかしくないほど朽ちた一軒の古い倉庫。
A様ご夫妻は、取り壊すにはあまりにも惜しいと考え、「この建物を何かに活用できないか」という想いから、再生のプロジェクトが始まりました。


自然光を愛し、作品づくりに情熱を注ぐアーティストのご主人。
ここを、自らの創作と暮らしの拠点にしたい――その想いから、この再生プロジェクトは始まりました。

外観は、あえて極力そのままに。

構造の安全性を第一に、まずは耐震診断と耐震計算を実施。真壁構造を活かしながら、古民家に適した特殊な筋交い「コボット」をバランスよく配置することで、建物全体の耐震性を大きく向上させました。

ご主人はアーティストとして活動されており、ここを作品づくりのための作業場として整備することに。
自然光を愛するご主人のご希望で、大きな開口部をできる限り確保。1階の床は全面土間とし、作品の搬入や清掃がしやすいよう、壁は構造用合板のほか、無機質でメンテナンス性の高いモルタル塗りに仕上げました。


自然素材の質感をそのままに、掃除のしやすさと空間の広がりを両立。無骨ながらも洗練された表情に仕上げました。

ご主人が特にこだわったのが「光」と「空気」。
作品を照らす光は、業務用のスポットライトで演出。作品ごとに角度や明るさを調整できる設計としました。
また、憧れだった薪ストーブも導入。

また、ご主人が長年夢見ていた薪ストーブも導入。吹き抜けを設けることで、暖気が建物全体に行き渡るよう設計されたパッシブな構造が、冬の寒さをやわらげてくれます。

シーリングファンは、空間のアクセントとしても機能し、無骨ながらも洗練された美しさを放っています。

照明には特にこだわりがあり、作品の演出に応えるべく、業務用のスポットライトを天井に設計。
光の角度や強さを自在に調整できるようにし、制作と展示の両面を支える空間を実現しています。

完成したA様邸は、過去と現在、そして未来が心地よく交差する、唯一無二の空間となりました。

もともとの建物が持っていた独特の骨組みや趣を可能な限り残しつつ、現代の快適性と機能性を融合させたA様邸。新たに生まれ変わったこの空間は、廃れた倉庫だったとは思えないほど、創造のエネルギーに満ちています。

「できる限りこの建物が持っていた美しさを壊さずに活かしてくれて、ありがとう」
そう語るご夫婦の笑顔が、このプロジェクトの何よりの完成形です。A様、こちらこそありがとうございました。

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